113 : 謎は遠く語らない種明かし

 

 

SERIES ≫  縮限に対自する漸近線 / 無限遠点における挙動の含意 ” 深遠な問 ” ( 2020 )

 

 

 

 

「 眼の光 」( 春の門番 )
OFFICE KANKE / GK.

 

 

 

 

ESQUISSE : 113 「 謎は遠く語らない種明かし 」

 

 

早春の風

 

けふ一日また 金の風
大きい風には 銀の鈴
けふ一日また 金の風

女王の冠さながらに
卓の前には 腰を掛け
かびろき窓に むかひます

外吹く風は 金の風
大きい風には 銀の鈴
けふ一日また 金の風

枯草の音の かなしくて
煙は空に 身をすさび
日影たのしく 身を嫋ぶ

鳶色の土 かをるれば
物干竿は 空に往き
登る坂道 なごめども

青き女の顎かと
岡に梢の とげとげし
今日一日また 金の風

 

” 早春の風 ” ( 1922年 / 1935年 ) 『 在りしの歌( 1937年 / 1938年 )』より 
中 原 中 也
FEBIAN REZA PANE

 

 

 

 

早春散歩

 

空は晴れてても 建物には蔭があるよ
春 早春は心なびかせ、
それが まるで薄絹ででもあるやうに
ハンケチででもあるやうに
我等の心を 引千切り
きれぎれにして 風に散らせる

私はもう まるで過去がなかつたかのやうに
少くとも通つてゐる人達の 手前さうであるかの如くに感じ
風の中を吹き過ぎる
異国人のやうな眼眸をして
確固たるものの如く
また隙間風にも 消え去るものの如く

さうして この淋しい心を抱いて
今年もまた 春を迎へるものであることを
ゆるやかにも 茲に春は立返つたのであることを
土の上の日射しをみながら つめたい風に吹かれながら
土手の上を歩きながら 遠くの空を見やりながら
僕は思ふ 思ふことにも慣れきつて 僕は思ふ

 

” 早春散歩 “ 草稿詩篇( 1933年 – 1936年 )より 
中 原 中 也

 

 

 

 

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